アゴスティーノ・ヤクルチのトラマーリ

2021年にサン・マルツァーノワインが始めたTramArtは、アートとワインのプラスの相乗効果を語る企画です。直線的でシンプルなデザインの「トラマーリ」のラベルは、毎回著名なアーティストの作品にぴったりのキャンバスとなっており、今回TramArt第3弾のトラマーリのラベルを手がけたのは、アゴスティーノ・ヤクルチです。

アゴスティーノ・ヤクルチのデザインは、これまでのポール・クレマー(2021年)とマット・クレバーグ(2022年)のデザインの特徴であった図形的で明確なスタイルから離れ、カラフルで芳醇な花のブーケをお届けします。

トラマーリとアゴスティーノ・ヤクルチの「ブーケ」

ヤクルチの構想は、テイスティング体験とも通じるところのある「ブーケ」です。とはいっても、アロマや匂いのブーケというテクニカルな意味ではなく、色彩を並べることで生まれるエネルギーと響きをイメージしたものです。

原画は『ブーケ』と題され、昔から使われてきた絵画ジャンルとしての静物画や庭園画のテーマを意識したヤクルチの新しい連作作品の一部を成すものです。古典世界の表現や常套様式を抽象化し、個人的な探求を意識した解釈で表現したものです。

作者について

ヤクルチは絵画、ウォールアート、彫刻、デッサン、インスタレーションなど、さまざまな表現手段を用います。制作においてはサイトスペシフィックな性格の作品が多く、異質の材料を集めて新しい形に作り変えます。こうして出来上がる光景や環境に、文化史や個人的な思い出や文学や地方特有の伝説に関連するテーマなどを結び付けて自由な語りを展開します。

ヤクルチが出展した個展や他のアーティストとの共同展覧会には次のようなものがあります: Alien Horti Picti(ベルリン、Robert Grunenbergアートギャラリー、2023年)、Of my abstract gardening(ローマ、Ex Elettrofonicaギャラリー、2022年)、Hortus(プラハ、イタリア文化会館、2022年)、Premio Termoli LXII、テルモリ、MACTE現代美術館、2021年)、Tracing Vitruvio(ペーザロ、市立美術館、2019年)、Talent Prize 2019(ローマ、旧屠殺場展示スペース、2019年)、Gypsoteca(ミラノ、M77ギャラリー、2018年)、Trompe-l’oeil(メキシコシティー、Celaya Brothersギャラリー、2017年)、Urban Art Biennale(ドイツ、Völkinger Hütte欧州産業芸術文化センター、2017年)、Cross the streets(ローマ、MACRO美術館、2017年)、第16回Premio Cairo(ミラノ、Permanente美術館、2015年)
2009年より次のような公共機関や民間団体のモニュメントとしての壁画やインスタレーション作品を手がけました: The garden of Alabu(デンマーク、オールボー、2023年)、Cote-des-Neiges Mural project ウォールペインティング (モントリオール、2022年)、Ludwigs- Hack-Museum(ドイツ、ルートウィヒスハーフェン、 2021年)、Life is Beautiful(ラスベガス、2021年)、Principal Place(ロンドン、2020年)、Yakutsk Biennale(ヤクーツク、2017年)、Distrito Tec University(メキシコ、モンテレイ、2016年)、Govind Puri Metro Station(ニューデリー、2016年)、Istituto Mario Penna(ブラジル、ベロ・オリゾンテ、2014年)、Fubon Art Foundation(台北、2012年)
さらに次のレジデンスプログラムに参加しました: ISCP (International Studio & Curatorial Program、ニューヨーク、2020~2022年)、Plop x Cob Residency(ロンドン、2021年)。
2020年にはイタリア文化財・文化活動省、イタリア外務省、コロンビア大学イタリアン・アカデミーによる芸術奨励制度Premio New York賞を、2021年にはCantica21, Italian Contemporary Art Everywhere賞を獲得しました。
国際的に著名な次のようなブランドや出版社とのコラボレーションも手がけています: Apple、Adidas、Hermès、Herman Miller、La Repubblica、Penguin Random House、Starbucks、The New Yorker

コラボレーション

ラベル用紙: Fedrigoni LUCE WS BARRIER FSC™
Fedrigoni Self-Adhesives社は3年連続でTramArtプロジェクトに用紙を提供しています。LUCE WS BARRIER FSC™は主に天然繊維を原料とする高級接着紙で、加熱印刷と型押し加工による繊細でエレガントな仕上がりが特徴です。坪量が大きいため、エンボス・デボス加工を施した高級ワイン向けラベルに最適です。安定性を確保するバリア加工により、水に浸けたり激しい温度変化があったりしてもプレミアム感が保証されます。「トラマーリ・アゴスティーノ・ヤクルチ」のラベル用紙は、環境に配慮した森林管理のもとで生産される社会的に有益で経済的な原料によるFSC認証取得製品です。

ラベル印刷: Tonutti Tecniche Grafiche社
ワインラベル印刷でほぼ80年の業績を誇るTonutti Tecniche Grafiche社が、今回も本プロジェクトに参加しました。代表取締役のマリア・テレーザ・トヌッティ氏はこう語ります。「3年前からほぼ定期的にサン・マルツァーノワインのTramArtプロジェクトのラベル印刷を承っていますが、プロジェクト作品の素晴らしさには毎回舌を巻いています。自然な質感が伝わる象徴的なラベルをつくるために慎重に選ばれた材料に我社のグラフィック印刷を施すことができて光栄です。」アーティストの創造力を強調するために、天然紙と4色オフセット印刷の手法が採用されています。文字部分とグラフィックとの調和を保ちつつ、主張の強いシアンとロゼワインのピンク色との完璧なバランスをとるのは容易なことではありませんでした。ブーケの花の間から半光沢インクのロゴが浮かび出し、ブロンズゴールドのキャップシールと相俟って、単にラベルと呼ぶには勿体ないほど特別感の高いエレガンスをかもしだしています。vo!